特に書く事を思いつかないので、数年前のハイキングの話です。
初めての縦走を経験したのが今回の高尾山〜陣馬山でした。
歩き慣れている人ならどうってことはないハイキングでしょうが、
普段全く運動をしていない人間がいきなり縦走です。縦走というのは、尾根伝いに山を渡る感じだと思うのですが、よく知りもしません。
とりあえず、ドラッグストアでチョコレートや救急用品を最低限仕入れて準備はしました。
吉祥寺から中央線下りの始発で高尾まで行き、京王高尾線に乗り換えてひと駅で高尾山口駅に到着。
高尾山に登るのは二度目です。
高尾山の最初の登山では麓の駅から山頂まで登り、帰りはリフトに乗って度胸をつけに行っただけで、帰りに評判の蕎麦屋で食べて帰ってくるという、お気楽なハイキングでした。
高尾山口駅から5分程歩くと、ケーブルカーの駅、清滝駅があります。評判の蕎麦屋、高橋家もこの駅前広場に面しています。
この真っ暗で無人の広場を見て既に怖くなってました。
今回は多分長い道のりなので、高尾山頂まではアスファルトの道を行こうと、案内図を見て駅の右手の方の道を登ります。
陣馬山までの距離もよく分かってませんでした。
しばらくジグザグの坂道を登ります。
登山は最初が辛くて、息が切れて喘息のようになりながら歩きます。
足にもかなり負担がかかっているのですが、最初はまだ気づいてません。
しかも新しい登山靴で歩いているのだから、当然下山する頃には酷いことになります。
でもこの時はまだ何も気づいてません。
坂道の途中でやっと少し空が明るくなってきました。(カメラの感度が良かっただけで、実際はもっと暗かったです)
道も凍るような12月中旬、しかも平日の夜明け前なので、流石に歩いている人はいません。清滝駅のすぐ側で、恐らく見回りか何かから帰ってくる二人組に会っただけでした。
その時は向こうから挨拶してくれたのでホッとしましたが、通り過ぎるまで結構不安でした。
山で人とすれ違う時は挨拶が重要です。法の目が届かない場所にいるわけですし。
孤独な道を歩き続けて3、40分ほどでケーブルカーの山頂側の駅、高尾山駅があります。付近で少し見晴らしのいい場所があり、日の出の写真を撮りながら休憩しました。
ここまでの2kmをゆっくり登っている間に、体が少し慣れてきたのか、最初ほど辛さを感じなくなってました。
近くでダイソンみたいな音がするのでそっちを見ると、一人で落ち葉の掃除をしている人がいました。付近の店の人だと思います。
ここまで自分にとっては大冒険のつもりで歩いてきたんですが、普通にこれが日常だという人がいて少しがっかりしました。
高尾山駅を過ぎると、山頂の手前にある薬王院の山門が見えてきました。このまま門をくぐって歩き続けるとすぐ薬王院です。
震災復興の祈願がたてられていますが、この年の春に東北沖巨大地震がありました。
万民豊楽、国土安穏、世界平和…。どれも非常に重いものを背負わされています。
薬王院は平城京を中心とした社会が支配する天平時代の745年に、聖武天皇の勅令によって東国鎮守の祈願寺として作られたそうです。
名前しか知らない平城京、平安京がどのくらいの規模と権力だったのかよく知りませんが、当時この辺りはほぼ外国扱いだったんじゃないかと思います。
それはともかく、この薬王院の脇から急な階段が伸びていて山頂への道へ続きます。
階段を登りきると山頂まではなだらかな散歩道です。
山頂の広場に着いても誰もいません。
茶屋も開いてません。
でも広場の反対側で一人、富士山を撮影している人がいました。
とても奇麗だったので自分も撮ることにしました。
さっき、挨拶が大事だと思ったばかりですが、声が出せません。
向こうも忙しそうで、二人とも無言のまま撮影していました。
この日は本当に天気が良くすばらしいハイク日和でした。